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100万円の相続税はいくら?相続税を払わずに済ませる方法は?

「親が亡くなって遺産を相続したんだけど、100万円の相続税はいくら?」などと
頭を抱えている人も居るのではないでしょうか。

一般的に相続税は税率が高いイメージですが、
実際に100万円の相続税はいくらなのかなど相続税について詳しく見ていきましょう。

100万円の相続税はいくら?

冒頭の疑問である「100万円の相続税はいくら?」についてですが、これは相続財産の
総額が100万円なのか相続税の対象が100万円なのかで回答が変わります。

まず相続財産の総額が100万円の場合は相続税は払わなくて大丈夫です。

相続税には基礎控除額が設定されていて、相続財産の総額が基礎控除額内に
収まる時には相続税は課さないことになっているのです。

相続財産の総額が100万円だと基礎控除額内に収まりますから、
相続税は発生しません。

次に相続税相当分が100万円の場合ですが、この場合の相続税は10万円となります。

相続税は相続財産の総額の基礎控除額を超えた分に対して何%という形で
課せられる仕組みとなっています。

また相続税は対象となる金額が大きくなるほど税率も高くなる累進課税です。

相続税の対象となる金額が1000万円以下の税率は10%ですから、
100万円に対する相続税は10万円となるわけです。

相続税の基礎控除額

相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×相続人数」で、
相続人の数が多いほど基礎控除額が大きくなります。

相続人が1人だと基礎控除額は3600万円、2人だと4200万円となり、
相続人数が多いほど相続税を払わなくて済む可能性が高くなるわけです。

「100万円の相続税はいくら?」の疑問に対しては、相続財産の総額が100万円なら
相続人が何人でも基礎控除額内に収まるので相続税はかからないが答えとなります。

例えば相続人が自分1人で相続財産の総額が3700万円だと、基礎控除額を引いた
100万円の10%で10万円を相続税として納めることになるのです。

相続税の税率

相続税は累進課税ですが、対象となる金額ごとの税率は以下の通りです。
 ・1000万円以下 10%
 ・1000万円超~3000万円以下 15%
 ・3000万円超~5000万円以下 20%
 ・5000万円超~1億円以下 30%
 ・1億円超~2億円以下 40%
 ・2億円超~3億円以下 45%
 ・3億円超~6億円以下 50%
 ・6億円以上 55%

1億円超の40%以上はかなり高率ですが、
1億円までの30%以下ならそれほど高い税率ではありません。

ただ税率が高くなくても金額が大きいので、
実際に納める相続税額は高額となる恐れがあります。

また相続税は基本的に金銭で納めることになっており、
延納すなわち分割払いでも金銭で納めるのが難しい場合のみ物納が認められます。

物納が認められるケースは限られていますから、遺産相続に際しては
相続税支払いのためにある程度まとまった現金を持っておかないといけません。

相続税の計算

相続税の対象が1000万円以下なら、単純に10%をかけた金額を相続割合で
割ることで相続人1人当たりの相続税額が計算できます。

例えば相続人が2人で相続財産の総額が5200万円だとすると、
相続税の対象となるのは基礎控除額4200万円を差し引いた1000万円です。

相続財産を2人が法定相続すると仮定して、相続人1人当たりの相続税対象額500万円に1000万円以下の税額10%をかけます。

500万円の10%で50万円、
相続人は2人なので50万円+50万円=100万円が相続税の総額です。

あとは相続税の総額に相続割合をかけて相続人それぞれが納める相続税額を
計算します。

法定相続通りなら50万円ずつですし、
6:4なら1人は60万円でもう1人は40万円を相続税として納めることになります。

1000万円以下は単純なのですが、相続財産の総額が1000万円を超えると
相続人1人につき控除額が設定されるので計算が少しややこしいです。

例えば相続財産の総額が1億5000万円で相続人が2人だと、
基礎控除額4200万円を引いた1億800万円が相続税の対象となります。

1億800万円を法定相続すると仮定した1人当たりの相続額5400万円、
これに5000万円超の税率30%をかけます。

5400万円の30%で1620万円、5000万円超の控除額は700万円なので
700万円を引いた920万円が1人当たりの相続税額となります。

相続人が2人ですから920万円+920万円=1840万円が相続税の総額で、
1840万円 に相続割合をかけた金額が実際に納める1人当たりの相続税となるのです。

法定相続通りなら920万円ずつ、6:4なら1人は1104万円でもう1人は736万円です。

相続税の計算は相続財産の総額から基礎控除額を引いて税率をかけるという
単純なものではありません。

法定相続分で1人当たりの相続税額を算出して合計の相続税額を出してから、
実際の相続割合をかけて1人当たりが納める相続税額を算出するのです。

基礎控除以外の相続税の控除制度

相続税には基礎控除以外にもいくつか控除制度が設けられており、
上手く活用すれば相続税負担を軽くできます。

相続人に配偶者が居る場合には「配偶者控除」が使えます。

相続税の配偶者控除では、相続人である配偶者の相続額が
 ・1億6000万円
 ・法定相続分
のいずれか多い方までに収まっていれば相続税がかかりません。

例えば相続財産の総額が1億5000万円で相続人が1人だと、
通常は2720万円の相続税がかかります。

ところが相続人が配偶者だと相続額が1億6000万円を下回っているので、
配偶者控除によって相続税はゼロとなるのです。

ただし配偶者控除が適用されるのは戸籍上の配偶者のみで、
事実婚で内縁の夫・妻では配偶者控除は利用できません。

基礎控除で相続税がゼロになる場合は申告も不要ですが、
配偶者控除によって相続税がゼロになる場合は相続税申告が必要です。

未成年者控除

相続人に18歳未満の未成年者が居る場合には、
未成年者控除が適用されて未成年者の相続税負担が軽くなります。

未成年者控除は18歳から相続人である未成年者の相続時点の年齢を引いた
年数×10万円で計算します。

例えば相続人が15歳だとすると18歳から15歳を引いた3歳×10万円で
30万円が未成年者の相続額から差し引かれるのです。

障がい者控除

相続人に心身に障がいを抱える人が含まれている場合には障がい者控除が
適用されます。

障がい者控除は85歳から相続人である障がい者の相続時点の年齢を引いた年数に
10万円をかけた金額です。

障がい等級が
 ・身体1級もしくは2級
 ・精神1級
 ・療育A
の場合は特別障がい者となり、
85歳から障がい者の年齢を引いた年数×20万円が障がい者控除額となります。

例えば相続人である障がい者が20歳だとすると、85歳から20歳を引いた65歳に
10万円をかけた650万円が障がい者の相続額から差し引かれます。

特別障がい者の場合は控除額が2倍になるので、
相続人である特別障がい者の障がい者控除額は1300万円です。

相次相続控除

10年以内に相次いで相続税を納める必要のある相続が発生した場合には
相次相続控除が適用されます。

例えば両親と子1人の3人家族で、父が亡くなった5年後に母が亡くなったとします。

子は父が亡くなった時の遺産相続で相続税を納め、
5年後に母の遺産相続で再度相続税を納めなければなりません。

10年以内に複数回相続税を納めるとなると相続人の負担が大きいので、
最初に納めた相続税額の一部が後から納める相続税で控除されるのです。

相次相続控除は1年10%ずつ減額するので、父が亡くなった時の相続税額が
100万円だとすると5年後の母が亡くなった時には約59万円が控除額となります。

小規模宅地等の特例

控除制度ではありませんが、
小規模な宅地を相続する場合には小規模宅地等の特例が受けられます。

宅地を相続する場合には固定資産税評価額を元に相続税を計算しますが、
小規模宅地等の特例を受けると評価額が最大80%減額されるのです。

具体的には「相続する宅地の固定資産税評価額×(限度面積÷相続する宅地の
固定資産税評価額)×減額割合」で計算します。

限度面積と減額割合は以下の通りです。
 ・特定居住用宅地等 限度面積330平米 減額割合80%
 ・特定事業用宅地等 限度面積400平米 減額割合80%
 ・貸付事業用宅地等 限度面積200平米 減額割合50%

例えば亡くなった父が住んでいた面積400平米で評価額1000万円の住宅を
相続すると、本来は1000万円の相続財産と見なされます。

小規模宅地等の特例を受けると、1000万円×(330平米÷400平米)×80%=660万円
となって評価額1000万円の宅地が660万円の相続財産と見なされるのです。

相続する宅地の面積が限度面積より小さい場合は、
宅地の固定資産税評価額に80%をかけた金額となります。

また複数の宅地を相続する場合には小規模宅地等の特例の併用が可能なのですが、
有利判定や計算式がややこしいので拙い説明では十分に理解してもらえません。

もし複数の宅地を相続して小規模宅地等の特例を受けるのであれば、
税理士などの専門家に相談して確認してください。

相続税の対象とならない相続財産

亡くなった人が所有していた金銭的価値のあるものは基本的に全て相続財産ですが、
一部相続税の対象にならない財産もあります。

亡くなった人を被保険者とした生命保険金や在職中に亡くなった場合の退職金は
一部非課税です。

生命保険金や在職中に亡くなった場合の退職金は亡くなった人の手元にあった
お金ではありませんが、見なし相続財産として相続税の対象となります。

相続税の基礎控除額のようなものが設けられていて、
生命保険金も退職金もそれぞれ500万円×相続人数までは非課税です。

例えば亡くなった人が1000万円の生命保険に入っていたとして、
相続人が2人だと受け取る生命保険金は非課税となり相続税はかかりません。

在職中に亡くなった時に支払われる退職金も相続人が2人だと1000万円までは
非課税です。

亡くなった人の葬儀にかかった費用も非課税で、
相続財産から葬儀にかかった費用を差し引くことができます。

ただし香典返しや四十九日法要など葬儀後に行う法事の費用は非課税対象では
ありません。

また亡くなった人が自分のために生前に購入していた墓地や墓石、仏壇、仏具も
非課税対象です。

ただし「日常の礼拝に必要なもの」であることが条件で、必要以上に華美・高価な
仏具については相続税の対象となる恐れがあるので注意してください。

相続税申告には期限がある

相続税申告には期限があり、
期限内に申告を済ませて相続税を納付しないと追徴課税の恐れがあります。

相続税の申告期限は被相続人が亡くなった翌日から10か月です。

実際に親や配偶者などのごく近しい親族が亡くなると分かりますが、
亡くなってからしばらくは悲しむ余裕が無いほどに様々な手続きに追われます。

「10か月もある」と思うかもしれませんが、様々な手続きと並行して
 ・相続財産の確定
 ・相続人による遺産分割協議
 ・遺産分割協議書の作成(遺言書が無い場合)
 ・相続税申告に必要な書類の収集
といったことを行うとなると時間的にギリギリになってしまうこともあるのです。

様々な手続きが一段落して落ち着くとごく近しい親族が亡くなった悲しさを感じて、
何も手につかなくなってしまう恐れがあります。

相続税申告のような期限が設けられるものは、
悲しむ余裕が無いほど忙しい間に済ませてしまうのがベターです。

相続税申告が遅れた場合の追徴課税

相続税申告が遅れた場合に課せられる恐れのある追徴課税は
 ・無申告加算税
 ・過少申告加算税
 ・延滞税
などです。

無申告加算税は相続税申告が必要にもかかわらず期限内に申告しなかった場合に、
納付しなければならない相続税額の10~15%が上乗せされる追徴課税です。

過少申告加算税は本来申告すべき納税額よりも少なく申告した場合に、
追加で納付する相続税額の10~15%が追徴課税として上乗せされます。

ただし税務署による税務調査の前に修正申告すれば過少申告加算税は課されません。

延滞税は利息のようなもので、納付期限から2か月以内は相続税額が年2.5%、
3か月以降は年8.8%ずつ加算されていきます。

わざと申告しなかったり、少なく申告することはないでしょうが、後から相続財産が
出てくることで意図せず無申告や過少申告になってしまうことがあります。

例えば亡くなった人が家族に秘密で作っていた口座の通帳が出てきたとか、
田舎に亡くなった人名義の土地があることが分かったなどといったことです。

相続税を払うことだけでももったいないと感じるのに、
その上追徴課税まで納めないといけないのはなおさらもったいないです。

意図せぬ無申告や過少申告で追徴課税とならないように、
相続財産を確定させる作業は迅速かつ慎重に行いましょう。

まとめ

「100万円の相続税はいくら?」という疑問への回答は、
100万円が相続財産の総額なのか相続税の対象額なのかで変わります。

相続財産の総額なら基礎控除額内なのでゼロ、
相続税の対象額なら税額10%なので相続税は10万円です。

相続税には基礎控除の他にも控除制度がありますし、相続する額によって税率や
控除額も変わるなどややこしい上に分かりにくくなっています。

申告が遅れると追徴課税の恐れもあるので、ごく近しい親族が亡くなって
相続が発生したら税理士など専門家に相続税について相談するのがおすすめです。

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