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古家付き土地を売買するメリットとデメリット

古民家をリフォーム・リノベーションした住宅やお店がちょっとしたブームとなっており、
古家付き土地の売買に興味を持っている人も多いのではないでしょうか。

そこで古家付き土地を売ったり買ったりするのには
どういったメリット・デメリットがあるのか詳しく紹介します。

古家付き土地とはどんなもの?

ネットや雑誌などで不動産情報をチェックしていると、
「古家付き土地」なるものが売り出されているのを目にすることがあります。

この古家付き土地は、
簡単に言うと中古の一戸建てがそのまま残っている土地のことです。

いわゆる土地付きの中古一戸建て物件とは違って、
古家付き土地では一戸建ての部分に資産的価値がありません。

土地付きの中古一戸建て物件は、多少手を加えることはあっても
基本的に建物はそのままで新しい買主が利用することを想定しています。

建物をそのまま使うことが前提なので、土地付きの中古一戸建て物件は土地代に
建物代をプラスした価格となっているのです。

古家付き土地では建物に資産的価値がありませんから、
基本的には土地代のみで購入可能です。

場合によっては建物を撤去するのに費用がかかることを想定して、
相場よりも安い価格で売り出しているケースもあります。

ちなみに古家付き土地は俗に使われている用語で、
「土地※現況 古家(上物)あり」といった形で売り出されるのが一般的です。

築年数22年が目安

一般的に住宅の耐用年数は22年とされており、建物の築年数が22年を超える
場合には中古一戸建てではなく古家付き土地として売り出すケースが多いです。

ただしこれはあくまでも一般論であり、建物の築年数が22年を超えていても
中古一戸建てとして売り出されることもあります。

実際にリフォームなどで傷んだ箇所の補修や修理をしっかりと行っていれば、
築年数が22年を大幅に超えていても住宅として全く問題無く使えます。

反対にちゃんと手入れをしていないと、築年数が22年に満たなくても住宅としての
用をなさないので古家付き土地としてしか売りに出せません。

「とにかく早く処分したい」など売主の都合によって、中古一戸建てでも売れるような
物件が古家付き土地として売りに出されることも考えられます。

古家付き土地を購入するメリット

古家付き土地を購入するメリットとしては「実質的な中古一戸建て物件が格安で手に
入る可能性があること」が挙げられます。

不動産の取り扱いにおいて「古家付き土地」と「中古一戸建て物件」に明確な基準は
ありません。

売主や不動産業者の考え方一つで、同じ土地でも「古家付き土地」として
売り出されることもあれば「中古一戸建て物件」と売り出されることもあるのです。

全ての古家付き土地がそうだとは言いませんが、古家付き土地の中には実質的には
中古一戸建て物件として売り出してもおかしくないもの少なからずあります。

場合によっては古家付き土地は相場よりも安く売り出されることもありますから、
実質的な中古一戸建て物件が格安で手に入れられる可能性があるわけです。

建て替えだけでなくリノベーションの選択肢も

古家付き土地だと残っている建物を取り壊して建て替えるも良し、
残っている建物をリノベーションするも良しと選択肢の幅が広がります。

昭和の建物で全面的な耐震補強が必要な場合は建て替える方が安いですが、
平成以降の建物である程度の耐震性能があればリノベーションで費用を抑えられます。

特に阪神大震災(1995年)以降に建てられたものだと、
耐震補強しなくても住宅としてそのまま使えるケースが多いです。

中古一戸建てだと購入する費用で手一杯となって、
リフォームやリノベーションにまで手が回らないことも少なくありません。

また自分のイメージに合った外観や内装の中古物件を見つけるのも簡単ではないです。

古家付き土地なら中古一戸建てよりも安く購入できるので、
リフォームやリノベーションで自分のイメージ通りの建物にできます。

生活のイメージがしやすい

新しく建て替えるとしても、古家付き土地だと建物が残っていることで
「そこでの生活」をイメージしやすくなります。

更地を購入して住宅を新築すると、
周辺の雰囲気と合わずに自宅が浮いてしまっているといったことにもなりかねません。

また屋上やベランダから眺望がイメージ通りでなく、
「もうちょっとこうしたら良かった」と後悔することが出てくる恐れもあります。

古家付き土地であれば建物が残っていますから、
新しい建物が建った時のイメージがつきやすいです。

建物が倒壊寸前でもなければ、実際に建物からの眺望も確認できるので
建て替える際のベランダの向きや窓の配置などを決める際の参考になります。

実際に建物が無いと分かりにくい日当たりも事前に確認できるのは古家付き土地の
大きなメリットです。

古家付き土地を購入するデメリット

古家付き土地を購入するデメリットとしては「建物を利用しない場合は解体費用が
かかる」ということが挙げられます。

価格自体は相場より安くても解体費用がかかることで、
実質的にはそれほど格安ではなくなってしまいます。

解体業者の手配などの手間を考えると、
建物を利用しない場合は古家付き土地は割高と感じることもあるのです。

土地に面している道路の幅が狭いと大型の重機が入れず、
解体作業に余計な時間と手間がかかってしまうことも考えられます。

建物が古くて建材にアスベストが使われていると、
解体作業自体や解体ガラの処分に余分や手間や費用がかかってしまいます。

たくさんの庭木が植わった庭を更地にするのにも費用がかかりますから、
建て替えの場合には想定以上に費用が嵩む恐れがあるのです。

水回りの工事が必要な場合も

建物が古い古家付き土地だと、建て替えるにしてもリノベーションするにしても
水回りの工事が必要となる場合があります。

2020年度の下水道普及率の全国平均は80%程度で、
下水道が十分に整備されていない地域も少なからず残っています。

下水道が整備されている地域でも建物に下水道が整備されておらず、
地下に汚水浸透桝や浄化槽が埋まっているケースもあるのです。

上下水道が整備されていても建物が何年も使われていないと、
水道管が老朽化していて取り替えざるをえないといったことも考えられます。

建物自体はそのまま使える場合でも、水回りの工事が必要で余計な費用が
かかる恐れがあるのも古家付き土地のデメリットです。

土地の境界線が曖昧で近隣との揉め事のタネに

都会だと少ないですが、田舎と言われるような地域の古家付き土地を購入すると
隣家との境界線が曖昧になっていること結構あります。

実際に田舎と言われる地域に行くと、塀や柵など隣家との境界を示すものが無く
どこまでがこの家主の土地なのか分からないといったこともあるのです。

境界線が曖昧な土地を外から来た人が購入して何かしら工事を行おうとすると、
かなりの高確率で隣家と揉めることになってしまいます。

「登記簿上はここが境界線でも、前の家主と話し合ってこっちを境界線にしている」など
荒唐無稽で確認しようのないことを言われることもあります。

スタートの時点で隣家と揉めると後が面倒ですから、古家付き土地を購入するなら
事前に測量や調査で境界線が確定しているかどうかを確認しておくのベターです。

さらに購入する前に不動産業者と隣家の住人を交えて、
境界線の確認を行っておくとより良いです。

古家付き土地の建物には契約不適合責任が無い

原則として、古家付き土地の建物については売主側に契約不適合責任はありません。

契約不適合責任はいわゆる瑕疵担保責任のことで、建物に買主に不利益をもたらす
何かしらの不具合があっても売主に責任を問えないということです。

古家付き土地を購入して残っている建物をそのまま使うケースは少なく、建て替えるかリノベーションをするのが一般的となっています。

建て替えるなら元の建物は取り壊すので問題ありませんし、
リノベーションする場合も作業中に不具合が見つかる可能性が高いです。

建物をそのまま使わなければ契約不適合責任を問えないことに問題は無いのですが、
古家付き土地を購入するなら一応頭に入れておいた方が良い情報です。

古家付き土地を売却するメリット

両親が亡くなって実家の土地・建物を相続したものの、そこに移り住む気が無ければ
 ・古家付き土地
 ・中古一戸建て
 ・建物を取り壊した更地
のいずれかで売りに出すことになります。

中古一戸建てとすることが難しい古い建物を残したまま古家付き土地として売却する
メリットとしては「解体費用がかからない」ことが挙げられます。

建物の大きさや建材などによっては、
解体するのに数百万円単位の費用がかかることもあるのです。

土地・建物を相続したものの解体費用が嵩むことから、
相続登記をせずに空き家として放置するケースが多く社会問題となっています。

更地にして解体費用以上の価格で売れれば良いですが、
解体費用より安くでしか売れないと解体するだけ損です。

古家付き土地として売りに出せば建物の解体費用はかかりませんし、
相場より多少安くなったとしても売主側に損は出ません。

解体業者を探したり、
近隣の住人に解体工事を行う旨の説明をしたりといった手間も省けます。

売れるまでの固定資産税を低く抑えられる

土地を売却するにしても、
実際に買い手が見つかるまでは固定資産税を払わなければいけません。

古家付き土地として建物を残しておくことで、
売れるまでにかかる固定資産税を軽減することができます。

建物を取り壊して更地にすると、
固定資産税評価額の1.4%を固定資産税として毎年納めることになります。

建物を取り壊さずに残しておくと、特例措置が適用されて
 ・200㎡までの部分は6分の1
 ・200㎡以上の部分は3分の1
に固定資産税評価額が軽減されるのです。

例えば固定資産税評価額3600万円の300㎡の更地だと、
固定資産税は2400万円の1.4%で504,000円となります。

建物が残っていると200㎡までは6分の1、
残りの100㎡は3分の1に固定資産税評価額が軽減されます。

300㎡で3600万円だと1㎡当たりの単価は12万円、200㎡までの部分の
固定資産税評価額は2400万円で残り100㎡部分の評価額は1200万円です。

200㎡までの部分は評価額が6分の1と見なされるので400万円、
残り100㎡の評価額は3分の1で400万円の合計800万円が課税対象額となります。

800万円の1.4%で112,000円が固定資産税評価額3600万円で建物が残っている
300㎡の土地にかかる固定資産税です。

更地だと約50万円納めることになる固定資産税が、
建物を残して古家付き土地にすると約11万円で済むわけです。

比較的すぐに買い手が見つかりそうなエリアの土地なら、
固定資産税が高くなっても更地にした方が売りやすいかもしれません。

しかし買い手が見つかるまで1年2年かかりそうなエリアだと、
古家付き土地にして固定資産税を安く抑えて損を少なくするのも1つの方法です。

建物については契約不適合責任を問われない

中古一戸建てではなく古家付き土地として売り出せば、
建物の部分については売主の契約不適合責任は問われなくなります。

中古一戸建てとして売却した後に建物に何かしらの不具合が見つかると、
売主側の責任で補修なり修理をしなければいけません。

建物は築年数を重ねれば重ねるほど、
目に見える部分だけでなく見えない部分にも傷みが出ます。

表向きには問題なさそうな建物でも、細かく調査すると補修や修理を要する箇所が
見つかるといったことが往々にしてあります。

まだ十分に住めると思っても建物の築年数が古い場合は、中古一戸建てではなく
古家付き土地として売却した方が結果的に得なケースもあるのです。

古家付き土地を売却するデメリット

古家付き土地を売却するデメリットとしては
「中古一戸建てよりも価格が安くなってしまうこと」が挙げられます。

中古一戸建ては土地代に建物代がプラスされますが、
古家付き土地は建物の資産価値はゼロなので基本的には土地代のみです。

さらに残った建物の解体に費用がかかることを見越して、
周辺の土地よりも安い価格で売却することになる可能性もあります。

「そちらで建物を解体してくれるなら購入する、そうでなければ大幅に値引してほしい」
といった条件を突きつけられることも考えられます。

買い手が残った建物を活かす方向ならともかく、建て替えを前提に購入を
検討していると余計な建物が残っていることで足元を見られてしまう恐れがあるのです。

地域によっては古家付き土地だと売れにくいことも

周辺地域の条件次第では、
いくら価格が安くても古家付き土地だと売れにくくなってしまうこともあります。

例えば市街化区域で周辺に新しい住宅が次々と建設されているような地域だと、
買い手は新しい家を建てられる土地を求めるケースが多いです。

古い建物が残っている古家付き土地だと、
新しい家の建設に着手するまでに余計な手間と時間がかかります。

特に大体の入居時期が決まっているような場合には、
多少価格は高くてもすぐに家の建設作業に入れる更地を選ぶ可能性が高いのです。

古い建物が残っているためにいつまでも買い手が付かないことがありえるのが、
古家付き土地として売却する大きなデメリットとなります。

まとめ

古家付き土地にはメリットもデメリットもあり、
購入する場合には価格が安くても絶対にお得とは言い切れません。

売却する場合も古家付き土地の方が売れやすいこともあれば、
中古一戸建てや更地で売りに出した方が良いこともありケースバイケースです。

古家付き土地を購入する場合は安いからとすぐに飛びつくのではなく、
まずは中古物件に強い不動産業者に相談しましょう。

また売却する場合も中古物件に強い不動産業者に、古家付き土地・中古一戸建て・
更地のどれを選択すれば良いのか相談するのがおすすめです。

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